
「簿記2級はやめとけ」という声には、根拠があります。合格率は高くない一方で、経理の求人では「持っていて当たり前」として扱われる場面があるからです。
ただしそれは取得後に使う場面がない人の話。取る価値があるかどうかは、あなたの職種と目的で答えが変わります。この記事では理由を5つに整理したうえで、取るべき人と取らなくていい人を条件別に切り分けます。
※会話は理解を助けるために構成したものです。志水は本メディアの運営者、あかりは読者代表として設定した架空の人物です。
「やめとけ」と言われる5つの理由
日本商工会議所の公表データでは、ネット試験(2025年4月〜12月)の合格率は34.6%、第171回統一試験(2025年11月16日)は23.6%でした。3人に1人前後しか受かりません。
それだけの労力をかけても、経理職の求人では簿記2級が応募要件になっていることが少なくない。つまり持っていて加点されるのではなく、無いと土俵に上がれないという位置づけになりやすいのです。
経理は企業のお金を扱うため、採用では実務経験が重視される傾向があります。2級を取っても、実務経験がない状態で比較されると不利になりやすい。
ただしこれは「資格が無意味」ではなく、資格が単独では決め手にならないという意味です。未経験から狙うなら、志望理由や会計ソフト・Excelのスキルをどう示すかがセットで問われます。
配点は商業簿記60点・工業簿記40点、合格ラインは70点。つまり商業簿記が満点でも、工業簿記で10点取らないと合格できません。
工業簿記は3級では扱わない範囲で、原価計算という別の考え方を新しく学ぶことになります。3級から続けた人がここでつまずくのが「2級は急に難しくなる」と言われる原因です。
簿記2級には、かつて1級の範囲だった論点(連結会計など)が含まれるようになりました。同じ「簿記2級」でも、数年前の合格者が受けた試験と現在の試験では負荷が違います。
「昔は簡単だった」という体験談を基準にすると、必要な勉強時間を見誤ります。最新の出題区分表で範囲を確認してから計画を立ててください。
簿記2級の知識は会計に関わる場面では強力ですが、業務で触れない職種にいると使わないまま忘れていきます。「取ること」自体が目的になっていると、投じた時間が回収されません。
逆に言えば、取得後にどう使うかが決まっている人には、この理由は当てはまりません。
取るべき人・取らなくていい人
5つの理由は、すべての人に等しく当てはまるわけではありません。立場ごとに整理します。
| あなたの立場 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 経理職に就いている | 取るべき | 日常業務に直結し、昇給・異動・転職のすべてで評価される。3級では足りない場面が実際に出てくる |
| 経理に転職したい(未経験) | 取るべき | 多くの求人で応募要件になっており、無いと選考の土俵に上がれない。ただし資格だけでは決まらない前提で準備する |
| 経理事務(補助業務) | 取るべき | 担当できる範囲が広がり、正社員登用や時給の交渉材料になりやすい |
| 大学生(会計系を志望) | 取るべき | 実務経験がない中で、会計への関心を客観的に示せる数少ない材料になる |
| 一般事務・営業事務 | 条件つき | 請求・入金・経費精算に関わるなら有効。まったく触れないなら3級で十分なことが多い |
| 営業・企画職 | 条件つき | 決算書を読む目的なら価値がある。ただし3級+決算書の読み方で足りる場合も多い |
| 独立・個人事業主 | 条件つき | 自分で記帳するだけなら3級で足りることが多い。法人化や複雑な取引があるなら2級が効く |
| 会計と無関係の就職志望 | 急がなくてよい | 就活のアピール材料にはなるが、時間対効果では他の選択肢のほうが高いことがある |
| 教養・自己啓発が目的 | 取らなくてよい | 使う場面がないまま忘れる可能性が高い。3級までで目的は果たせる |
3つの質問で、自分の答えを出す
「やめとけ」という意見の多くは、Q1とQ3に当てはまる人が2級を受けた場合の話です。目的が経理に接続している人には、この批判はそのまま当てはまりません。
取ると決めたら、いくらかかるのか
判断材料として、実際の金額を並べます。受験料は方式にかかわらず共通です。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 受験料 | 5,500円 | 統一試験・ネット試験とも同額(税込) |
| 事務手数料 | 550円 | ネット試験をインターネット申込する場合。合計6,050円 |
| テキスト・問題集 | 約4,000〜8,000円 | 商業簿記・工業簿記で各2冊が目安 |
| 電卓 | 約2,000〜4,000円 | 試験で使用できる機能に制限あり |
| 通信講座 | 19,800〜88,800円 | 使う場合のみ。下表参照 |
通信講座を使う場合の価格帯は、各社公式の表示で以下のとおりです(2026年9月時点・簿記2級向けコースの通常価格)。
| 講座 | コース | 価格 |
|---|---|---|
| スタディング | 簿記2級合格コース | 19,800円 |
| クレアール | 2級パック Web通信 | 53,000円 |
| TAC | 2級合格本科生 Web通信 | 59,000円 |
| 資格のキャリカレ | 簿記3級・2級(Bコース) | 66,800円 |
| 資格の大原 | Webライブ2級合格コース | 88,800円 |
独学なら1万円台、通信講座を使うと2万円台後半〜が現実的な総額です。上の金額は各社の通常価格で、時期によって30〜60%引きのキャンペーンが入ります。申し込み前に各社公式で最新の金額を確認してください。
まだ迷っている人へ
まとめ
「簿記2級はやめとけ」には根拠があります。合格率は高くなく、経理では持っていて当たり前として扱われ、工業簿記という別分野を学ぶ必要があり、範囲も過去より重くなっています。
ただしそれは取得後に使う場面がない人が受けた場合の話です。経理に関わる予定がある人にとっては、多くの求人で要件になっている以上、避けて通れない資格でもあります。
判断はQ1〜Q3の3つで切り分けてください。使う場面が見えないなら、いま急いで取る必要はありません。
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試験制度・受験料・講座価格は変更される場合があります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
